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勉強トピックス

高校数学

高校数学 2023 共通テスト 数学IA 第2問

第2問 [1]
 昨年度の問題では四分位範囲や散布図の判断を慎重に行わなければならないものがありましたが、今年度ではこのような慎重な判断は必要がなかったようです。統計というのは集団の性質を把握することが第一の特徴ですから、昨年度のようにある要素への慎重さというのは、この特徴から考えると今年度のような易化のさせかたは理にかなっているようにも思います。また、相関係数などの数値で計算する問題についても、昨年は近似して計算しずらい値でしたが、今年度は近似して計算しやすい値に変わっていました。近似して見積もる能力を判断できる問題として、やはり理にかなった易化のさせ方だと感じました。

アイウ:四分位数や範囲に関する問題です。それぞれのデータが何番目かをある程度注意して扱う必要があります。ここをざっくりやってしまい誤答する人も少なくないと思います。これらの整理を含めて、必要な時間は3分くらいでしょうか。

エオ:エは箱ひげ図の読み取りですが、それほど注意して読み取らなくても解答できます。
 オは分散の計算を言葉で表すものですが「偏差」という言葉が分からず間違ってしまった人もいるでしょう。数学では言葉はある程度の意味を含みます。この意味は式である特徴を表現するとき、式からある特徴を読み取るときの両方で使われます。これがなければ応用はできません。けれども、この応用の第一歩目が軽視され、解き方や式を重視した学習が行われていることが多いため、このような設問を作りたくなるのでしょうか。エ・オは2分くらいあれば十分でしょう。

カ:相関係数の計算です。分母に使う590を600に近似することで、約分が進んでいきます。さらに約分の結果分母が19になりますが、これを20として小数にするくらいの近似が許されます。どの程度の近似が可能かは有効数字が1つの目安になります。各選択肢の数値がいくつくらい離れているかもやはり目安になります(この考え方はテストのための考え方で、やや姑息な考えか方ではありますが)。近似ができれば2分くらい、近似しない場合は4分くらいかかるかもしれません。

第2問[2]
 バスケットボールのシュートの軌跡です。読んですぐ「またメンドウな問題だ」と感じた受験生も少なくないでしょうが、読み進めると設定が易しいと気づき安心するでしょう。

キク:二次関数の一般形に座標を代入して構いませんが、やや時間がかかります。関数ですから、いきなり式を使うのではなく、まずは簡単なグラフを書いてから判断した方がよいでしょう。グラフを見れば、二次関数はグラフの軸で、対称になるという性質が使えることが見えます。これにより1次の係数キが確定できます。次に代入してクを確定する感じでしょう。
 もっと式を扱える人であれば、グラフの通る座標が(0,3),(4,3)であることから、平行移動を使って y-3=ax(x-4) とすぐに式を作れるでしょう。グラフの特徴と式の形を結びつけることは、関数を使いこなす上で大切な基礎となりますから、ここまで学習を進めておきたいものです。
 ここまでの問題文を読むの2分くらいでしょうか。
一般形に代入であれば、解くのに2分くらい。
グラフを描いて軸から1次の係数を確定させて(0,3)を代入するのであれば1分くらい。
平行移動を使う場合は10秒くらい。
このような解答時間になるでしょうか。

ケコ:キクで求めた式を平方完成しますが、欲しいのは軸ではなく頂点のy座標だけです。とはいえ、全体を平方完成してもそれほど時間はかかりません。1分くらいあれば十分でしょう。

サ:平方完成してくれてあるため、楽ですね。
頂点の座標を求め、そのx座標やy座標を比べることで解決します。ただ、二次の係数の符号への着目が必要になります。数値の大小関係や最大値や最小値をある程度把握する習慣のある人は、難なく解けたでしょう。このような習慣は、グラフを日常的に使っている人は見に着けている人が多いでしょう。グラフを日常的に使う人というのは「解き方を思い出す」ように練習をする人ではなく、「問題文の示す情報をまずは把握する」ように練習する人には多くいるでしょう。このような学習がおそらくは、高校生の数学の学び方として求められているのでしょう。2分くらいはかかるかもしれません。

シスセソ:この問題も、昨年度同様の難易度であれば円の接線の性質と相似または三角比から点Dの座標を求めさせたでしょうが、今年度は点Dの座標が与えられています。
 代入により解決しますが、計算時間が2分くらい見積もった方がよさそうです。

タ:頂点のy座標の比較です。ただし式の形が整えられた状態で与えらえていますから、近似して計算すればそれほど難なく解けるでしょう。1分くらいかかるかもしれません。

チ:タと同じ考えで扱えますが近似に気をつけて計算を進める必要があります。近似計算に慣れている人は1分くらいで解決できるでしょうが、そのままやってしまうと数分かかると思いますので、解かずにパスする選択もありかもしれません。

 試験時間を考えたとき、第2問をどのように考えるか。
解く問題について。
1.カ(相関係数の計算)、チ(頂点のy座標の差の見積もり)を解かない。
 カ、チ以外すべて正解で24点(80%)
 オ、サを落とした場合は18点(60%)
 この場合、最大で17分くらい、グラフと式の特徴が使えれば15分くらい。

2.カのみ解かない。
 カ以外すべて正解で 27点(90%)
 オ、サを落とした場合は21点(70%)
 最大で16分ほど。グラフの特徴等が使えれば14分くらいでしょうか。

3.チのみ解かない。
 カ以外すべて正解で 27点(90%)
 オ、サを落とした場合は21点(70%)
 最大で19分ほど、近似やグラフの特徴等が使えれば15分くらいでしょうか。

4.全て解く。
 完答で30点
 オ、サを落とした場合は24点(80%)
 この場合は最大20分くらい見積もる必要があるかもしれません。
 近似やグラフと式の特徴が十分に使えれば、16分くらいになり現実的な時間になります。

時間を左右する計算手法について
1.カ・タ・チで近似計算を使えるかどうか。
2.キクでどの特徴を使うか。

解けるかどうかにかかわる問題
1.オの偏差という言葉の意味が適切にわかったか。
2.サが解けたどうか。
これら以外は基礎的な問題です。ミスがなければ解けるでしょう。ミスした分だけ痛くなります。

 第1問からの合計時間と得点
基礎的な問題だけ解き、やや時間のかかる計算のうち、飛ばせるものは飛ばした場合
ここまでで 22分(のこり48分)で43点(ここまでで72%)

基礎的な問題だけ解き、やや時間のかかる計算は解いた場合
ここまでで 27分(のこり43分)で49点(ここまでで72%)

近似計算やグラフと式の特徴などを十分に使えて完答した場合
28分で60点(完答)

時間と得点の関係はこのようになるでしょうか。
ミスがなかった場合です。

(スクラムnext 田中克典)

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