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高校数学

高校数学 2023 共通テスト 数学IA 第3問

第3問
 場合の数、確率では「事象をどのように把握するか」という力をどの程度身に着けたか、がこの単元の応用力を左右します。
 「どのような事象の場合の数がどのような式で求められるか」が中心ではありません。このような学習をしていると、教科書や基本的な問題集、定期テスト等はできるけれども、入試レベルになるとできなくなる。という感じになります。そして、このような学習者が多いためが「確率、場合の数は苦手」という大学受験生も多いように感じます。強化すべき力がズレていますから、苦手になるのは納得できることです。
 さて「事象をどのように把握するか」という力を身に着けるための第一歩は、樹形図や表への整理です。この整理の結果として式は自然と作られます。次に、モデル化です。昨年度は樹形図等に整理して、やや複雑な事象を式に落とし込む力が解決に重要でしたが、今年度はモデル化がテーマになっていました。
 また、事象の複雑さもかなり軽減されていました。ある試行の結果によって次の試行が変わる等の事象の分岐が起きる条件により、事象は複雑化します。分岐を把握する道具が、分岐を図にする樹形図です。この場合、分岐が少ないとわざわざ整理せずとも、頭の中である程度把握すれば解けてしまうために、整理技術が十分かを問うことができなくなり、大学入試としては適切でなくなります。ある程度の分岐数を含めることで、整理技術が必要になり、整理すれば比較的楽に解けるが、整理せずに頭で考えたりしていると解ききれなくなります。このような性質だったのが昨年の問題です。今年度はモデル化がテーマになったために、分岐の複雑さは含まれずかなり易化しました。

アイウ:絵が示されていますから、1番の球が何通りか、2番は何通りかと把握すれば計算式が作れます。一連の試行の中にありますから、それぞれを掛け算で結び付けられれば式は作れます。計算も軽いので、問題文を読み始めてからアイウを解き終わるまで2分ほどあれば十分でしょうか。

エオ:やはり絵がありますから、アイウと同様にして計算式ができます。1分もあれば十分でしょう。

カキ:赤をちょうど2回使うという条件が入りますが、この問題も絵が示されていますので、この絵で「赤」になる番号とその場合の他の球の色の数を把握できます。どの2個を赤にするかも、同様に把握できます。やはり1分くらいでしょうか。

クケ:玉の連結方法が変わりますが、やはり絵がありますから、方針は変わりません。1分くらいでしょう。
コサシス:絵が提示されますが、これを別の場合と同じと考えるようにモデル化をします。「4と3が同色になる」という条件から「色に関しては、4と3が同じ」として3個の球の場合と同じとみなします。解けるか解けないかが分かれるでしょう。

セソタチ:コサシスと同様にして、5個の球の塗り方を誘導なしに扱う問題です。コサシスが理解されて解かれている人には1分ほどで解決できるでしょう。

 試験時間を考えたとき、第3問をどのように考えるか。
解けるか解けないか。
コ以降が解けたか解けないかで別れるでしょう。コサシスが解けて、セソタチを解かなかった人もいたかもしれませんが、これはかなりもったいないと思います。

1.ケまで解けた場合。ケまで解くのに5分くらい。コ以降も読んで3分加えて8分くらいの時間がかかったかもしれません。得点は12点(60%)

2.完答できた場合。8分くらいかかるでしょう。得点は20点。

 第1問からの合計時間と得点
基礎的な問題だけ解き、やや時間のかかる計算のうち、飛ばせるものは飛ばした場合
ここまでで 30分(のこり40分)で55点(ここまでで68%)

基礎的な問題だけ解き、やや時間のかかる計算は解いた場合
ここまでで 35分(のこり35分)で61点(ここまでで76%)

第2問の近似計算やグラフと式の特徴などを十分に使え、第3問コ以降も解けてて完答した場合
36分(のこり34分)で80点(完答)

時間と得点の関係はこのようになるでしょうか。
ミスがなかった場合です。

(スクラムnext 田中克典)

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