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高校数学

高校数学 2023 共通テスト 数学IA 第4問

第4問
 昨年度は整数を割り算の形式(割る数×商+余り)で表し、これを整数x,yの不定方程式へ変形することを中心とした内容でした。これが言葉では割り算の形式を述べ、式は不定方程式が示されています。この2つの性質は密接に結びついていますから、基礎学習の時点で結びつけられて学ばれていて然るべきものと思います。けれども、多くの高校生はこの2つの形式が別々に学ばれています。そのため、昨年度の問題は難しく感じた受験生が多かったのかと思います。また、昨年度は計算も重いものでした。
 今年度の問題も同様に割り算の形式と不定方程式を扱う問題でしたが、昨年度は割り算に余りがある条件から始まりましたが、今年度は割り算に余りがない場合を中心に扱います。このため、同じテーマを扱っていてもかなり易化したように感じます。また、計算もかなり軽くなっていました。

長方形のカードを並べて正方形や長方形を作る問題です。
アイ:カードの縦と横の長さの約数のうち、素数を探す問題です。素因数分解すればよい問題ですから、解くのは簡単でしょう。けれども、この問題は今後の展開の準備ですから、この問題で答えを探すだけで終わりにせず、縦の長さ、横の長さを素因数分解の形でまとめておくべきでしょう。こうすることで、整数を約数や倍数などの積の性質をもつ数との関係づけが見やすい形で式を扱えることになります。問題文を読み始めてからここまでで、2分くらいという感じでしょうか。

ウエオカ:カードを並べて正方形を作る問題です。カードの縦の長さ整数倍と、カードの横の長さの整数倍が等しいということですから、最小公倍数と考えてもよいでしょうし、長さが等しいという式で正方形という条件を式で表してもよいでしょう。式にしておいた方が、今後の情報にしやすいでしょう。1分くらいで解答したい問題です。

キクケコサシ:「カードを何枚か並べた長方形の、縦の長さと横の長さの差の絶対値」を指定されますから「カードの縦の長さの整数倍とカードの横の長さの整数倍の差」をまずは式で書いておくことから始まります。カードの縦の長さ、カードの横の長さを素因数分解型で書いておけば、すぐにくくれる整数が見つかるはずです。くくった段階で、条件が判明します。具体的には22(3・7a-5b)のようになります(a,bは整数)。3・7a-5bの最小値が分かれば、解決です。最小値の候補としては3・7a-5b=1があればいいなと、思いますから、これを探すとa=1,b=4が見つかります。これでキク、ケコサシが確定します。2分以内には解答したい問題です。

スセソ:カードが2種類になります。まずは縦の長さを合わせることを問題文が指示しています。これまでと同様にカードの縦の長さの整数倍によって式を作り、「長さが等しい」という式を作ることから始まります。このとき、式を整理すると 5x=7y から x/y=7/5 または、 x=7k, y=5k とすることができますが、どちらもxとyの比を表していますので、この比の最小値が分かり、解決します。やはり2分以内には解決したい問題でしょう。

タチツテトナ:次の議論に移るために、再び最初と同じように最大公約数と最小公倍数を把握する問題になります。少し数が大きいですが、2分くらいで解決したいですね。

ニヌネノ:第4問最後の問題です。問題文の提示する条件を式にすることから始めるべきでしょう。これまでの設定からカードを並べた横の長さを 462s+363t 、縦の長さを 770u として正方形になるという条件を式で表します。
 462s+363t=770u (s,t,uは正の整数)
 この式を作るまでは1分もあれば十分でしょう。問題は、これを扱って答えを出すかどうかでしょう。敬遠してもよいでしょう。
 扱う場合は式を整理して
 3(14s+11t)=70u
となります。ここで左辺との関係から u=3u'(u'は正の整数) とでき、式は次のように変わります。
 14s+11t=70u'
14と70が14の倍数ですから、もう少し整理すると
 14(5u'-s)=11t
また、先ほどと同様に t=14t' (t'は正の整数)として
 5u'-s=11t'
ここまでくれば、u', s,t'を最小の整数で考えると u'=3,s=4, t'=1 と分かり、正方形の一辺の長さが分かります。
 計算も軽いですし、使っている技術も同じ基礎を繰り返し使っているだけですから、難しい問題ではありません。処理に2分はかかるかもしれませんが、ぜひ解いておきたい問題ではあります。とはいえ、式を理解したり解釈するように学習を進めるのではなく、どうやって解くかばかりを練習した受験生は苦戦するでしょう。高校生の間の数学のトレーニングのしかたが問われる問題です。

 試験時間を考えたとき、第4問をどのように考えるか。
解けるか解けないか。
ツテトナまでは解きたい問題です。ニヌネノはこれまでの学習のしかたによって、基本的な問題ですが、これを基本と思えたか、難しいと思ってしまったかが分かれます。
1ツテトナケまで解けた場合。ツテトナの最初の式を書くまでで10分くらい。この式を見てこれ以上は解かないと決めた場合は、得点は17点(85%)

2.完答できた場合。さらに2分くらいかかって、第4問全部で12分くらい。得点は20点。

 第1問からの合計時間と得点
基礎的な問題だけ解き、やや時間のかかる計算のうち、飛ばせるものは飛ばした場合
ここまでで 40分(のこり30分)で72点(全体で72%)

基礎的な問題だけ解き、やや時間のかかる計算は解いた場合
ここまでで 45分(のこり25分)で78点(全体で78%)

第2問の近似計算やグラフと式の特徴などを十分に使え、第3問コ以降、第4問のニヌネノが解けて完答した場合
48分(のこり22分)で100点(満点)

時間的にずいぶんと余裕がありますから、これまで想定した時間より、もっとゆったりとやっても良さそうです。

以下の問題が解けるか解けないか、解くか解かないかで別れると思います。
これら以外は基本的な問題ですから、ミスに気を付けて得点したい問題だと思います。

第1問 ナ(2点)
    ニヌネノハ(3点)

第2問 オ(3点)
    カ(3点)
    サ(3点)
    タチ(3点)

第3問 コ(2点)
    サシス(2点)
    セソタチ(3点)

第4問 ニヌネノ(3点)

(スクラムnext 田中克典)

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