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勉強トピックス

高校数学

高校数学 2023 共通テスト 数学IIB 第5問

第4問
 ベクトルの問題です。数学では「条件や状況を数式で表すこと」「数式から数式の表す特徴を読み取ること」により応用が行われます。このとき「表された数式は変形を行うことができ、変形された式から何らかの特徴が読み取れれば、これを情報として使える可能性がある」ということにより、思考を強力にサポートします。場合によっては言葉や人間の脳の中で考えていただけでは、到達することがかなり困難な事柄も扱うことができるようになります。これが数学を使う大きな利点でしょう。このとき「問題を解く」とか「答えを求める」という感覚では扱うことが難しくなります。そもそも、言葉や人間の思考では困難な事柄を扱っていますから、考えて解くという行為自体が矛盾のようにも感じます。「解く」とか「答えを求める」という感覚でなく、「条件を式で表す」「式を読み取る」という感覚で扱うことで、数学の力を借りて情報が集まり整理され、比較的容易に(場合によっては答えを求めようとした意識はないのに勝手に)解かれていくことになります。
 研究や技術として数学を使う場合に比べて、”誰かに作られた”大学受験の問題はこのような扱い方を使うと、やはり難なく解かれていくことが多くあります。特に体系化が進んだ分野では、この傾向は強くなり、図形などの古い分野はこの傾向が弱くなります。ベクトルは、図形を式で扱う技術として高校数学の中では進んだ分野ですから、この傾向は強くなります。このような分野を「解こう」として扱うのを見ると、学習の方法として「自分の頭をそんなく頼るのではなく、もっと数学を頼った方がいいのな」と感じます。
 このように扱うと、ベクトルの問題は大学受験の問題の中でもかなり簡単な部類に属します。昨年度の問題は、図形的要素が強くなり今年度に比べると難しいものでしたが(思考への依存が大きい)、今年度はベクトルという技術に頼り切ることでほぼ完答できる問題でした。

アイウエ:ベクトルを使って中点を表す問題です。

オ:内積と角度の関係式です。高校で学ぶベクトルの技術では、角度を扱える(式に角度を含む)のは内積のみですね。図を描きながら読み進めますが、アからオまでで3分もあれば十分と思います。

カ:空間を扱うのは難しいですね。難しいものを難しいまま扱うのは数学では避けた方がよいでしょう。そのため、問題文が指定した平面に着目し、平面を描きながら読みすすめ、内積の計算を行います。角度は45°で与えられます。数IIBの問題ですから弧度法を使って書いてもよさそうなものですね。

キ:「DがAM上にあること」と∠APDが90°であるという条件が与えられます。これをベクトルの式で表すことから始まります。∠APDが90°といのはAPとPDのベクトルを使って書かれます。ベクトルでは始点を複数使えますが、複数の始点があるというのは、座標の原点が複数あるようなもので、扱いずらいですから始点を1つにそろえてしまった方がよいでしょう。同時に式で表すのに使うベクトルが変数のようなものですから、これも数が多いと扱いずらくなります。ですからできるだけ少ないベクトルで表すようにした方が扱いやすいでしょう。こうすることにより、これまで得られた情報が使えるようになり、解決します。カキも図を描きながらですから、余裕を見て3分くらいかかるかもしれません。

クケ:「PAとPQが垂直」と条件を与えられますから、これもすぐに式で設定しておくべきでしょう。やはり始点が一致していませんから、始点をAに合わせ、表現するベクトルをAP,AB,ACにすることでクに該当する式が現れます。これは内積で表されていますから、内積を長さと角度で書き換えるとケに該当する式が現れます。やはり図を描きながらですから、3分くらいでしょうか。

コ:ケと同様に内積を長さと角度で書き換えます。

サシ:ケの式にコを適用し、式を整理することで、図での解釈を読み取ることができるようになります。ABcos(θ)と(1+k)倍ということの読み取りですから、基本的な内容です。2分あれば解決可能でしょう。ただ、式を読み取るという習慣のない人は苦戦したかもしれません。

 試験時間を考えたとき、第5問をどのように考えるか。
 この問題も、基本的な取り扱いだけで完答できます。ただし、サとシは式の表すことを読み取るという習慣のない人は苦戦するでしょう。

できれば全問が確実にとりたい問題です。(20点)

式を読み取る習慣のない人はサシを落として得点は16点になるかもしれません。

第5問は11分くらいが解答の目安時間になると思います。


数IIBを第1・2・3・4問を解いた場合、以下の問題が解けるか解けないか、解くか解かないかで別れると思います。
これら以外は基本的な問題ですから、ミスに気を付けて得点したい問題だと思います。

第1問
 オカキ(4点)
 ニヌ(5点)
 サシスセ(2点)
 ソタチ(4点)

第2問
 ケからソ(7点)
 ハヒ(6点)

第4問
 条件を丁寧に読み完答したい問題です。

第5問
 サシ(4点)

 ここに挙げた問題がすべて解けなかった場合、68点になります。

 時間的に見て第1問ソタチを解くかどうかの判断が必要かもしれません。
この問題を避けた場合96点になります。

(スクラムnext 田中克典)

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