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中学数学

高校入試問題レビュー 2022 埼玉県 学力検査問題 数学 第1問

 2022年 2月24日は埼玉県公立高校の入試でした。
大学入試と同じく、年々少しづつ難化していっている公立高校入試ですが、まだまだ高校入学後に学ぶ内容に比べてギャップが大きいため、今後も少しづつ難化していくことが予想されます。今年度の入試について見てみたいと思います。

 今回は、数学 学力検査問題 第1問です。

第1問
 (1)から(8)までは計算問題でした。どれも基本的な問題です。
 (3)は割り算のあとのかけ算について勘違いする人がいますから、この理解を問う目的でしょう。

 (6),(8)は2つともxの2次式です。(6)は因数分解で、(8)は2次方程式です。(8)は解の公式または平方完成ですが、多くの人は解の公式を使うでしょう。
 また、因数分解を方程式と勘違いして解を求めてしまう人も少なからずいますから、この辺りを問う目的でしょうか。2つありますから(8)で「2問もあるのか?」とミスに気づくきっかけにもなります。日ごろからこのようなことに意識できるように練習をしていっていればミスは防げますね。

 (9)は円周角の問題で、基本的です。

 (10)は一次関数と反比例の係数とグラフの関係です。各項の係数に着目して関数の大まかな特徴を把握することは、高校数学ではいつでも行うべきことですが、この意識がない高校生は非常に多くいますから、これを意識した出題でしょうか。
 やや難しく感じる人も多い問題ですから、戸惑った人も多いと思います。しかし、式とグラフの対応は関数の重要テーマですから、普段からこの意識をもって関数を見ている人にとっては素直な問題となります。各単元で「何が中心に身につけるものか」ということを正確に意識して勉強を進めていることが大切ですね。

 (11)は円錐の展開図で、側面と底面の関係による問題。よくある問題ですから公式的に覚えている人も多いでしょう。もちろん、側面と底面の関係を表す式を作って解く練習を行っている人の方が応用力は高くなります。
 よくある問題というのは、ぱっとできる方法を知りたくなりますが、それを練習してしまうと応用力がなくなってしまいます。楽な方法に飛びつかず、どんな関係を数式で表すのかという基本的なものを練習すると、最初は慣れないために難しくも感じるし面倒にも感じるでしょうが、着実に応用力が身についていき、大きな差を生みます。

 (12)もよくある問題です。問題の解き方を知っている人は多いですが、その理由が「分数がかけ算の一部だから」ということを意識している人は少ないかもしれません。このことから、分子をかけ算の形である因数分解した形にすることから始まります。この問題では「全部で何通りか」を求めるために、難しく感じた人も少なくないかもしませんね。

 (13)は相似の問題で、基本的です。

 (14)は箱ひげ図に関する問題で、誤っているものを選ぶ問題です。選択肢の ア が厄介です。数学というのは「精密に表現できる」ことが利点であるにもかかわらず、アの選択肢は「影響を受けにくい」という曖昧な表現です。統計という性質上、曖昧さは他の単元よりも多く含むのですが、同時に統計という性質上、データの性質に大きく依存します。その性質をある特定のものに、明言もせずに固定してしまっているかのような文言での出題ですが、これは現在において数学を応用的に取り扱うときには行うべき仮定ではないはずです。これを入試問題が使ってしまっては、将来数学を使っていく可能性をもつ中学3年生がかわいそうな気がします。
 ウの選択肢が確実に間違っていて消去法で選べますから、解答するためには影響はないかもしれませんが、よく勉強している人ほど迷う問題だと思います。

 (15)は標本調査の問題で、やはり統計の単元です。同じ単元の他の扱い方はできる人も多いのですが、この問題は苦手にしている人が多いように思います。
 けれども理解が難しいというわけではなく、この単元は統計と確率を割合という考え方で橋渡しする単元ですから、割合という意識で学習を進めた人にとっては解き方を覚える必要もなく式を作れます。

 (16)は辺の比と体積の関係の問題です。相似だけであれば覚えていればできる問題ですが、1つは相似ではないので、どうしたらよいか分からなくなってしまった人もいるでしょう。模範解答も比で取り扱っていますから、やはり難しく感じるかもしれません。
 けれども、比を文字式を使って表すことができる人は、問題文の指示通りに式を作っていけば自然と答えにたどり着きます。そもそも数学の利点の1つは文字を使って表せることで、これにより算数よりも格段に式が作りやすくなったはずです。この利点を使わない手はないですね。


(スクラムnext 田中克典)

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